近年建設業許可申請に係るルールに改正がなされています。
令和2年4月1日から施行されたものと、令和2年10月1日から施行されたものとがあります。それぞれどのような内容なのか見ていきましょう。
必要書類の変更
建設業許可にあたり提出しなければならない書類が少なくなりました。
たとえば、以下の確認書類として提出していた住民票は不要となっています。
- 経営業務管理責任者の常勤性
- 営業所専任技術者の常勤性
そこで、これらの確認書類として提出が求められるのは、健康保険証等と実務経験を確認するための資料だけになります。また、国家資格者等・監理技術者一覧表の提出も不要になることで、資格者証および管理技術者証などの確認資料も不要になりました。
営業所の確認に関しても、その位置図と営業所を使用する権原の確認書類が不要となり、営業所の写真を提出するだけで良くなりました。
経営業務の管理責任者要件の変更
改正以前では、許可を受けようとする分野での経営経験等が要件として問われていましたが、改正により、建設業の経営経験があれば良いとされています。格段に要件が緩和されたわけではありませんが、やや認められやすくなったと言えます。
たとえば、要件の一種には「建設業に関し5年以上の経営業務の管理責任者としての経験を有する者」などとありますが、ここで言う「建設業に関し」とは、その「業種に関係なく」という意味を表しています。
社会保険への加入が必須に
健康保険や厚生年金保険、雇用保険などの社会保険への加入が許可要件となりました。適用事業所に該当するすべての営業所はこれらの届出をしていなければなりません。
それに伴い、申請時には社会保険に加入していることを示すことができる資料も準備しなければなりません。仮に加入をしていない場合、申請を受け付けてもらうことができなくなります。
これは新規の許可に限らないため、現在加入できていない場合にはこれを済ませた上で許可の更新を行う必要があります。
これまで社会保険加入義務があったので法人設立に躊躇していた個人事業の方も、今後は上記要件の義務化により、法人設立の距離も縮まったのではないでしょうか?
その他改正点
他にも事業の承継制度が新たに設けられたことや、管理技術者の現場専任性が緩和されたことなど、いくつか改正点があります。
承継制度に関しては、円滑な事業承継を促すものとなっており、例えば事業譲渡や法人の合併・分割によって事業の全部を別の者が受け継いだときでも所定の手続を行うことで承継元の許可を含む建設業者としての地位を承継できるとされています。
かつては、再度建設業許可の取得を行わなければならず、スムーズな承継ができない状態でしたが、新設された制度によって許可にかかる空白期間をなくすことが期待されます。なお個人事業においては相続もここでの承継の事由に該当します。
現場専任制の緩和に関しては、かつて請負金額3,500万円以上の工事では管理技術者もしくは主任技術者が現場に専任しなければならないとされていたものが、管理技術者補佐を専任で配置すれば管理技術者は2つの現場での兼任が認められるようになっています。
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